【社労士執筆】結婚すると国からお金がもらえる?もらえるお金をすべて解説

少子化対策の一環として、日本では結婚を支援するさまざまな補助制度が用意されています。これらの制度は申請できる期間が決まっているため、どのような補助があるのかを確認し、忘れずに活用していきたいものです。今回は結婚したときにもらえる補助金に関して、それぞれの要件や申請方法などについて解説します。

結婚すると国からお金がもらえる?

結婚や出産をすると、国や自治体からもらえる助成金やお祝い金があるのを知っていますか?代表的なのは、国が2016年にスタートさせた「結婚新生活支援補助金」です。このほかにも支援金などを用意している自治体もあるので、ぜひご自分の自治体を調べてみましょう。この記事では主な補助金の申請方法や受給条件などについてご紹介します。

結婚新生活支援補助金を解説

「結婚新生活支援補助金」とは、まだ収入の少ない若年者(若い男女)柔らかい言葉への言い換えであっても結婚生活を送れるように補助することで、婚姻率を高めることを目的とした制度です。自治体によっては対応していないこともあるため、まず居住地の自治体窓口に問い合わせ、利用できるかどうか、利用する際の注意点などを確認しましょう。以下に、結婚新生活支援補助金の内容について解説します。

結婚新生活支援補助金の要件

結婚新生活支援補助金には、「一般コース」と「都道府県主導型市町村連携コース」という2つのコースがあります。
それぞれのコースは、補助の上限金額や補助率が異なります。

令和5年度版の補助金に関しては、以下の要件を満たすことが求められています。
(1)令和5年3月1日から令和6年3月31日までに結婚(入籍)したこと
(2)結婚するときの年齢が夫婦ともに39歳以下であること
(3)世帯所得の合計が500万円未満であること など

所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことをいいます。会社員であれば、給与や賞与の合計額から給与所得者控除の金額を差し引いた金額です。離婚経験のある人が新たに結婚する場合であっても、過去にこの補助金を申請したことがなければ受給の対象となります。年度ごとに補助の予算が組まれているため、予算を消化してしまった場合は、年度内でのそれ以降の補助がされなくなるケースもあります。

結婚新生活支援補助金の補助内容

以下の費用が、補助の対象になります。

新居の住居費 (1)新居の購入費
(2)新居の家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料
(3)新居のリフォーム費用
新居への引越し費用 (4)引越し業者や運送業者に支払った引越し費用

補助率と補助の上限額は、以下のようになっています。

一般コース

・補助率1/2
・補助上限額:1世帯当たり30万円

都道府県主導型
市町村連携
コース

(1)結婚時の年齢が夫婦ともに
29歳以下

・補助率2/3
・補助上限額:1世帯当たり60万円

(2)(1)に該当せず結婚時の
年齢が夫婦ともに39歳以下

・補助率2/3
・補助上限額:1世帯当たり30万円

たとえば、結婚時の年齢がともに29歳以下の夫婦が、結婚生活を送るための初回家賃と初回共益費、敷金・礼金、仲介手数料、引越し費用で合計120万円かかった場合、都道府県主導型市町村連携コースの申請をして受理されれば60万円の補助が受けられます。
※費用の合計120万円×補助率2/3=80万円、補助上限額が60万円なため補助額も60万円

注意点としては、補助金をもらってから新居の購入などに充てられるわけではなく、いったん自分たちで支払ったあとに申請し、申請が認められた場合に事後にお金が振り込まれる形であることに注意をしましょう。

結婚新生活支援補助金の申請方法

申請方法は自治体ごとに異なりますが、以下の書類を揃えて担当の窓口に申請する形が一般的です。
(1)補助金交付申請書
(2)添付書類
・結婚後の戸籍謄本
・入籍後の住民票
・世帯の所得証明書
・賃貸借契約書などの新居に関する書類
・住民税の滞納がないことを証明する書類
・新居の住居費や引越しの領収書 など

申請をおこなう場合は、居住地の自治体に事前に確認をしましょう。

結婚新生活支援補助金の自治体一覧

結婚新生活支援補助金の対象自治体は、インターネット上で公表されています。
たとえば、関西地区の場合、以下の自治体が対象となっています。

都道府県 対象の自治体
大阪府 枚方市、交野市、藤井寺市、泉佐野市、和泉市、松原市、太子町、岬町
兵庫県 姫路市、加古川市、三木市、加西市、加東市、西脇市、相生市、養父市、 三田市、高砂市、宍粟市、丹波市、洲本市、淡路市、南あわじ市、佐用町、新温泉町、播磨町、上郡町、多可町、稲美町
京都府 亀岡市、南丹市、綾部市、京丹後市、宇治田原町、和束町、京丹波町、 笠置町、南山城村
滋賀県 大津市、彦根市、長浜市、近江八幡市、草津市、守山市、栗東市、甲賀市、 湖南市、高島市、東近江市、米原市、豊郷町、甲良町、多賀町

対象自治体はインターネット上で公表されているため、お住みの地域が結婚新生活支援補助金の対象自治体かぜひ確認してみてください。

結婚すると国以外からもらえるお金

結婚すると、国以外からも以下のようなお金をもらえることがあります。

支給元 趣旨
自治体 住民サービスの一環として結婚祝い金を支給
組合 組合員に対する福利厚生の一環として結婚祝い金を支給
会社 従業員に対する福利厚生の一環として結婚祝い金を支給

自治体からの祝い金

住民が結婚した場合に祝い金支給などのサービスを実施している自治体があります。
自治体によるサービスの例を以下に記します。

自治体名 支給金額など 条件など
北海道芦別市 10万円分の
市内で使える商品券
芦別市の市民で市税を滞納していないこと
北海道秩父別町 20万円 夫婦ともに40歳未満であること、夫婦ともに秩父別町に居住することなど
群馬県桐生市 5万円 夫婦ともに桐生市民であること、結婚後も桐生市に定住する意思があることなど
群馬県中之条町 60kg分のお米引換券 受理後1カ月以内に中之条町に住所を置き、 1年以上町内に住み続けること
茨城県日立市 40万円を限度とした
結婚後の住居費補助
夫婦ともに40歳未満であること、夫婦ともに日立市民であることなど
岐阜県揖斐川町 5万円分の地域振興券 結婚後1年を経過していない夫婦であること、揖斐川町に3年以上定住することを前提としていることなど
東京都板橋区 3年間区立住宅の家賃を3万円減額 結婚する予定が明らかになった後3年以内、もしくは結婚後3年以内であること
福岡県みやま市 1年間家賃負担額の1/2を補助 結婚後1年以内の夫婦であることなど
宮崎県川南町 3年間家賃から4万円引いた金額を補助 夫婦ともに40歳以下であること、結婚後3年以内の夫婦であることなど

ほかにも、住人の結婚に対する祝い金支給などのサービスを実施している自治体はありますので、興味のある人は居住地の自治体に問い合わせてみましょう。

組合からの祝い金

会社が健康保険組合や労働組合などに加入しており、組合の中に「組合員が結婚したときに祝い金を支給する」という決まりがある場合、組合に対して結婚したことを報告すれば、結婚祝い金が支給されます。
結婚祝い金の額は、3万円から5万円ほどの場合が多いです。

会社からの祝い金

世の中の多くの企業が、従業員に対する福利厚生の一環として「慶弔見舞金制度」を設けています。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が全国の2809社を対象に実施した調査によると、86.5%の会社が慶弔見舞金制度を導入していました。その中に、結婚祝い金が含まれていることが一般的です。結婚祝い金をもらう場合、会社の総務担当者に対して結婚したことを報告する必要があります。
結婚祝い金の額は、1万円から5万円ほどの場合が多いです。

授かり婚の場合にもらえるお金

授かり婚をした場合、次のようなお金が国や自治体からもらえます。

名称 支給理由 支給金額
出産手当金 産前産後の休暇を取るとき 給与の2/3
出産育児一時金 出産したとき 50万円
出産祝い金 妊娠したとき、出産したとき 5万円分のギフト×2回
育児休業給付金 子育てをするとき 給与の1/2もしくは2/3

出産手当金

健康保険に加入している会社員などが、自らが出産するために会社を休み、休む期間中に会社から給与が支払われない場合、1日につき日給相当額(標準報酬日額)の60%の出産手当金が支給されます。
産前産後の休暇期間中(産前42日間※多胎分娩の場合は98日間、産後56日間)が対象になります。
なお、自営業者やフリーターなどの方で国民健康保険に加入している場合は、出産手当金の制度はありません。

出産手当金の受け取り方は、勤務する会社が本人に代わって健康保険組合などに申請することが一般的です。
産前産後の休暇を取得する場合は、休暇前に会社に対して出産手当金のことを確認しておきましょう。

出産育児一時金

健康保険に加入している人が妊娠85日目以降に出産をした場合、出産した子一人につき50万円の出産育児一時金が支給されます。
会社員などが加入する健康保険の場合は、被扶養者になっている家族が妊娠85日目以降に出産をした場合も同額の家族出産育児一時金が支給されます。
出産には、死産や人工妊娠中絶も含まれます。
なお、重度脳性まひなどの分娩に関連した発症への補償をおこなう産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産した場合は支給金額が48万8千円となるため、注意が必要です。

出産育児一時金の受け取り方は、あらかじめ医療機関に50万円が支払われ、本人が差額を医療機関の窓口で支払う(出産費用が50万円未満であった場合は差額が本人に支給される)ことが一般的ですが、医療機関に出産費用を全額支払ったあとに本人が健康保険組合などに50万円を請求することもできます。

出産祝い金

2022年4月1日以降に生まれた0歳から2歳までの子どもがいる家庭、もしくはこれから出産する予定の家族がいる家庭を対象にして、居住する自治体に妊娠届を提出したときに「出産応援ギフト」5万円分が、そのあと居住する自治体に出生届を提出したときに出生した子ども一人につき「子育て応援ギフト」5万円分が支給されます。
ギフトとしてもらえる内容は自治体によって異なりますが、出産や育児に関するサービスやベビー用品などの費用の助成、出産・育児関連商品を対象とした商品券の支給などが多いです。
申請方法も自治体によって異なるので、自治体の窓口で確認する必要があります。

育児休業給付金

雇用保険に加入している人が1歳未満の子どもを育てるために育児休業を取得し、休業期間中に会社から給与が支払われない場合、1日につき、最初の6カ月間は休業を開始したときの日給額の2/3、それ以降は日給額の1/2の育児休業給付金が支給されます。
1歳になったときに保育所に入れなかったなどの特別な理由がある場合は、育児対象の子どもが1歳6カ月になるまでの期間、支給されます。
これに関しては、父親が子育てをする場合も支給されます。
育児休業がスタートするのは産前産後休暇を終えてからであり、育児休業給付金は2カ月ごとにまとめて支給されるため、最初にお金をもらえるのは子どもが生まれてから4カ月ほどあとになります。
育児休業給付金の受け取り方は、勤務する会社が本人に代わって健康保険組合などに申請することが通常です。

結婚で退職した場合にもらえるお金

会社を退職したあとに、次のようなお金が国からもらえます。

名称 支給理由 支給金額
確定申告による還付金 退職後に確定申告をするとき 数百円から数十万円
失業給付金 退職後に求職活動をするとき 離職前の給与額の50〜80%

確定申告による還付金

会社員の税金(所得税)は、あらかじめ毎月の給与から一定額ずつ徴収(源泉徴収)したあとに、扶養家族や保険などの控除を反映した年間納税額を確定し、源泉徴収額の合計が年間納税額を上回っていた場合は、その差額が本人に還付される仕組み(年末調整)になっています。
1年の途中で退職した場合は会社が年末調整をおこなうことができないため、本人が税務署に確定申告をすることで、納めすぎた税金を還付してもらえます。
確定申告は、所定の確定申告書の用紙に必要事項を記載し、退職時に会社からもらった源泉徴収票や控除の証明書などを添えたうえで、居住地を管轄する税務署に提出します。
還付金は、確定申告書を提出してから1カ月ほどで銀行口座に入金されるケースが多いです。

失業給付金

退職後にハローワークに求職の申し込みをした場合、求職活動期間中、1日につき「退職前6カ月間の給与の日額平均の50%~80%」に相当する失業給付金(失業手当)が支給されます。
支給期間は、90日間から330日間です。

会社都合退職の場合は求職の申し込みをしてから7日後からが支給対象になりますが、自己都合退職の場合は2カ月と7日後からが支給対象になります。
また、28日間ごとの支給になるため、実際に銀行口座に入金されるのは、会社都合退職の場合は求職の申し込みをしてから1カ月ほどあとに、自己都合退職の場合は3カ月ほどあとになるので、注意が必要です。

もらったお金には税金がかかる?

いままで結婚に関してもらえるお金のことを解説してきましたが、税金がかかるのかどうかについて、まとめて解説します。

名称 税金の取り扱い
結婚新生活支援補助金 法律上「一時所得」という扱いになるので課税対象だが、年間50万円を超えなければ課税されない
自治体からの祝い金
組合からの祝い金 組合の規約に支給根拠があり金額が常識の範囲内(数万円ほど)であれば非課税
会社からの祝い金 会社の就業規則などに支給根拠があり金額が常識の範囲内(数万円ほど)であれば非課税
出産手当金 法律上非課税扱い
出産育児一時金 法律上非課税扱い
出産祝い金 法律上非課税扱い
育児休業給付金 法律上非課税扱い
確定申告による還付金 納めすぎた税金が戻ってくるだけなので課税されることはない
失業給付金 法律上非課税扱い

まとめ

結婚をすると、想定していなかった支出が発生することがあり、若い夫婦の場合は経済的な負担となります。そんなとき、国や自治体などからのさまざまな補助制度を利用することができます。補助制度は申請をしないとお金をもらえないものがたくさんあるため、どのような補助制度があるのか一度確認してみてください。

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執筆者紹介

大庭真一郎(中小企業診断士、社会保険労務士)

大庭経営労務相談所 代表 東京都出身。東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。

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