【助産師執筆】お七夜はしなくてもよい?しない割合やしない場合の注意点を紹介

「お七夜」は、赤ちゃんが生まれた日の翌日を1日目として7日目におこなわれる、赤ちゃんの健康と幸福を願う伝統的な儀式です。しかし、近年はおこなわない家庭も増えており、現代のライフスタイルや家族の価値観によっては必ずしも必要とされない場合もあります。果たして、お七夜をおこなうべきかどうか、その意義や選択肢について考えてみましょう。

お七夜をしない人の割合とは?

最近では、お七夜をおこなわない家庭が約16%にのぼるとの報告があります。
この背景にはさまざまな要因が考えられます。まず、核家族化の進行や、都市部に住む夫婦の増加などによって、伝統的な家族の行事を継承していく流れが弱まったことが挙げられます。また、現代の生活リズムでは、仕事や子育ての忙しさや、一緒に準備をしてもらえる人が見つけづらいことから、準備をおこなう時間や余裕を持つことが難しいと感じる人も多いでしょう。また、伝統的な行事や儀式に対する関心が低下している可能性もあります。しかし、お七夜をおこなわないからといって、赤ちゃんの誕生をお祝いしないわけではありません。代わりにほかの方法や儀式を選択するご家族も多く見られます。

お七夜をしない理由とは?

お七夜をおこなわない理由はさまざまですが、現代に至るまでの変化や個々の家族の状況などが関係しています。

準備が大変だから

お七夜は、会場の準備を準備し、家族や親しい友人を招待しておこなう儀式です。赤ちゃんが生まれてから間もないため、多くの場合自宅でおこなわれますが、その場合、片づけや掃除、飾りつけ、座席の配置などが必要になってきます。
それから食事が提供されるのが一般的です。親族が好む料理や飲み物を用意しなければなりません。また、食事の準備だけでなく、食器やカトラリーなども揃えることになります。
さらに、主役である赤ちゃんのためにも準備が必要です。赤ちゃんの服装やおむつ、専用のスペースを用意し、赤ちゃんが快適に過ごせるように配慮して準備をおこないます。
これらを準備しながら、親族にも連絡をおこなうことは普段でも手間がかかります。ましてや、慣れない育児中であれば、夫婦にとって大きな負担となってしまいます。

親族と集まる習慣がないから

今日、特に都市部では、仕事や生活リズムの変化によって親族と集まる機会が少なくなったことも、伝統的なお七夜をおこなう習慣が薄れてきた理由の1つです。進学や就職を機に都市部で生活するようになり、そのまま妊娠・出産を迎えている方も多くいます。このように親や祖父母が遠方に住んでいる場合は、お七夜をおこなわないご夫婦が多いようです。

関心がないから

最近の認識として、お七夜の儀式そのものに対する関心や意識が低下している場合もあります。宗教的な背景や文化的な伝統にかかわらず、親や家族が赤ちゃんの誕生を祝福する方法は多様化しており、必ずしもお七夜が必要である、とは考えていない方も多いです。

費用がないから

経済的な理由からお七夜をおこなわないケースもあります。お七夜は家族や親しい友人を招待しておこなう儀式であり、招待のために費用がかかる場合があります。赤ちゃんの出産や育児に伴う費用がかさむなかで、お七夜の費用を用意するのが難しいと考えるご家族もあるかもしれません。

知らなかったから

そもそもお七夜は、まだこの時期の赤ちゃんの生存率が低かった時代に、まずは7日間無事に元気に育ってくれたことを祝福し、健康な成長を願うといった意味がありました。しかし、現代では医学の進歩により、7日目が特別な節目だと感じる人は少なくなっています。

忙しいから

そしてなにより、この時期はまだ母親は出産のダメージも強く、慣れない育児で忙しい時期となります。準備などにも時間がかかるため、知っていてもおこなわない選択をされるご家族も多くなっています。
これらの要因から、近年ではお七夜をおこなわないご家庭も増えています。

お七夜をしないデメリット

お七夜をおこなわない場合には、いくつかのデメリットが考えられます。ですがもちろん、この行事をおこなってもおこなわなくても大きな問題はありません。ご家族さまの価値観やご体調にあわせていただいて構いません。

伝統的な行事の機会が減る

お七夜は日本の伝統的な儀式の1つであり、ご家族や親族、親しい友人が集まって赤ちゃんの誕生を祝福する機会です。お七夜をおこなわないことで、そういった昔からの伝統に触れる機会は減ってしまいます。

親族の集まる機会が減る

お七夜はご両親や親族、親しい友人が集まる機会であり、産後の生活への助言やサポートのきっかけとなる場合もあります。お七夜をおこなわないことで、親や祖父母からのアドバイスやサポートを得る機会がなくなってしまう可能性もあります。

親族によっては違和感も

特にご年配の方や住んでいる地域によっては、伝統的な行事を重んじる方々もいらっしゃいます。もしかすると、お七夜がなくて違和感を感じる方もあるかもしれません。

お七夜をするメリット

お七夜は赤ちゃんが生まれてから、最初におこなう伝統的な特別な行事です。ご体調や価値観にあわせながら、簡易的なものでも構わないのでやってみるのもよいかもしれません。
たとえば、赤ちゃんのお顔を見に来てもらう日にする、命名書を書いてみる、お名前の発表をする日にする、などもよいですね。
子育ては同居のご家族だけではなく、親族や友人のサポートを必要とする場面がたくさんあります。お七夜をきっかけに、赤ちゃんのお披露目の機会とし、反対にほかの日はしっかり休めるように整える・・・など、できる範囲を見極めながらさまざまな赤ちゃんのための行事を楽しんでいってください。

お七夜をしない場合に注意すべきこと

お七夜をしないからといって、赤ちゃんに何か大きな問題が起こるわけではありません。
もちろん、赤ちゃんの誕生を喜んでいないわけでも、お祝いをする気持ちがないわけでもありません。ですが、さまざまな価値観がありますので、行事をしないことにマイナスイメージを持たれる方もいるかもしれません。
そのため、お七夜をしないのであればご両親にはお話ししておくとよいでしょう。妊娠中からお話しできていると、産後にトラブルにならずに済むので好ましいです。
また、命名書を書いたりする方もいると思います。出生届は生まれた日を1日目と数えて14日目までの提出が必要となりますので、名前が決まったら、忘れずに出生届を提出しましょう。

お七夜のあとの行事

・ニューボーンフォト
ニューボーンフォトでは、生後1カ月くらいまでの赤ちゃんを撮影します。
新生児らしい姿を残すため、おくるみなどでまるまった姿勢で写真を撮ることが多いです。
・宮参り
宮参りは、初めて神社(寺)を訪れて、赤ちゃんの健康と成長を祝福・感謝する行事です。
・お食い初め
お食い初めは、生後100日を記念して、赤ちゃんに料理を食べさせる真似をする行事です。一生食べ物に困らないようにと願う意味があります。
・ハーフバースデー
ハーフバースデーでは、半年の成長をお祝いします。離乳食やプレゼントと一緒に写真を撮ることが多いです。
・一升餅
1歳の誕生日に重さ一升の餅を持たせる行事です。子どもの健康や一生食べ物に困らないように祈る意味があります。
最近では、一升餅を背負わせるためのバッグなどもありますので、是非チェックしてみてください。

まとめ

近年ではお七夜をおこなわない家庭も多くなりました。伝統的な行事の1つであり、ご家族や親族で集まるよい機会となります。もちろん、産後間もない時期ですので、無理は禁物です。
ご自身ですべて準備しようとせず、周りのサポートを受けながら、赤ちゃんの誕生と成長を、お祝いできるとよいのではないでしょうか。
お七夜をするしないにかかわらず、みなさまが健やかに産後を過ごせることを願っています。

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執筆者紹介

山口百合乃

地域周産期センター、総合病院、個人クリニックと大小様々な病院で約2000件の分娩に立ち会い、約400件の分娩介助に携わる
現在はゆりの助産院を開業し、オンラインと訪問型の助産院の院長として活動中。「人とちがって当たり前!生きてりゃOK」のマインドで、正解を探しすぎず、楽しく妊娠・出産・育児ができるように地域や企業でママパパへ向けた活動をおこなっている。3児の母。

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