【専門家執筆】夫婦で保険会社が違うのは問題ない? 最適な保険の選び方を専門家が解説

一般的に結婚はそれまで別々に生活していた2人が同世帯となるので、生命保険などもそれぞれが契約していることも多いです。そのため結婚を機に保険を見直し、夫婦型保険を検討する方もいらっしゃるでしょう。ここでは夫婦型保険について説明します。

夫婦型保険とは

「夫婦型保険」あるいは「夫婦特約」とは、夫か妻が主契約となり、配偶者を特約として保障をつけるものです。特約分の保障内容は主契約の60%程度となっていることが多く、その分保険料を安く抑えられるのがメリットです。
夫婦型保険の利用方法としては、家計の大黒柱である配偶者を主契約とし、高額の経済保障をつける必要のない専業主婦(夫)などを特約とするといった方法があります。

夫婦型保険の注意とデメリット

生命保険、医療保険ともに夫婦型保険がありますが、医療保険の場合には注意が必要です。特約とする専業主婦(夫)の収入の有無にかかわらず、病気やケガになるリスクは夫婦ともに同程度あります。特約でカバーされる保障内容について十分に確認する必要があるでしょう。
また夫婦のどちらか一方が保険の見直しをする場合、配偶者も見直しを強いられることになります。

夫婦で違う保険会社に入るメリット

保険を必要に応じて個別に契約するという観点から考えると、夫婦型の保険よりも、個別に契約を結んだほうがそれぞれのニーズに対応しやすいといえます。また夫婦や家族の保険だけではなく、保険そのものについても同様に考えることができます。
たとえば、死亡保障に医療特約やがん特約などをオプションとしてつけるより、医療特約は医療保険として、がん特約はがん保険として個別に契約をするほうが、自身のニーズにあわせて設計することができます。

個別に契約すると保険料が高くなると心配する方もいると思いますが、基本的には保険を別々にしたことで保険料が高くなることはありません。保険料は保障を充実させたり年齢が上がったりすることで高くなりますが、同じ保険会社同じ保障内容であれば、特約にしても別々にしても基本的には保険料は同じです

夫婦それぞれで最適な保険を選べる

夫婦で違う保険会社に入るメリットとしては、それぞれのニーズにあわせて最適な保険を選べることが挙げられます。たとえば女性の場合、女性向けの保障がついた保険を選んだほうがよいかもしれません。たとえば医療保険につく特約である「女性疾病特約」や「女性入院特約」などがあります。乳房、子宮、卵巣などのがんや子宮内膜症などを含む女性器疾患、妊娠、分娩、産褥期の合併症などの入院や手術保障、乳房再建術などをカバーするものです。

また家計の大黒柱が働き盛りの時期には、保障を手厚くすることも考えられます。この場合も夫婦別々の保険ならば、必要に応じてアレンジができます。

各人が控除を受けられる場合も

夫婦それぞれが保険を契約している場合、各人が保険料控除を利用することができます。しかし夫婦型保険の場合には、保険料控除の対象は主契約者だけとなります。保険を選ぶ際には、保険料控除についても考慮する必要があるといえます。

離婚や死亡の場合のリスクを減らせる

夫婦型保険では、離婚や主契約者が死亡した場合、従たる被保険者である配偶者には保障が実質的になくなってしまいます。また終身保険などの貯蓄型の保険でも同様のリスクがあります。こうしたリスクを減らすといった意味でも、夫婦で別々の保険を契約していたほうが使いやすいといえるでしょう。

夫婦で違う保険会社に入るデメリット

次に夫婦で違う保険会社に入るデメリットについて整理します。

コストが高くなる・管理の手間がかかる

夫婦がそれぞれ保険をかけている場合のデメリットとしては、夫婦型保険と比較して保険料の総額が高額になることがあります。
また契約に関する管理の手間も増えます。たとえば保険の見直しの際も、それぞれが相談や手続きをおこなわなければならないため、夫婦型の保険に比べて手間と時間がかかるといえます。こうした保険の管理の手間に関しても考慮する必要があります。

夫婦の保険を選ぶときのポイント

結婚は2人が人生を共にするものです。そのため保険に限らず今後の生活について多くのことを選択する機会となります。
夫婦の保険を検討する際にはどのようなことが大切になるでしょうか。ここでは夫婦で保険を選ぶ際の考え方について説明します。

大切なのは、ライフプランにあわせること

ここまで夫婦型保険よりも「夫婦別々のほうがよい」理由を述べてきましたが、夫婦の保険を考えるうえで大切なのは、2人のライフプランを考え、そのプランにあわせた保険を選ぶことです。
ライフプランには、子どもは欲しいのか、何人くらい欲しいのか、夫婦で共働きを続けていくのか、どちらかの収入をメインにしていくのか、家を購入するのかなど、さまざまなものがあります。
このようなライフプランを考えたうえで、保険の選択をしていくとスムーズです。

保険の目的を明確にする

ライフプランを考えたら、次は保険の目的を明確にしましょう。

たとえば貯蓄型の保険の場合には、自分自身のための貯蓄なのか、家族のための貯蓄なのかを考える必要があります。家族のために貯蓄をするのであれば、夫婦型保険や家族型保険を選んで保険料を抑え、効率的に資産を形成することがメリットとなる可能性があります。自分自身のための貯蓄であるなら、配偶者との死別や離婚があっても保障を継続できるよう、別々の保険を選ぶほうがよいかもしれません。
また子どもがたくさん欲しい夫婦の場合には、子どもも含めた家族型保険を選ぶことで保険料の削減効果が大きくなる可能性があります。
反対に、夫婦で同等の収入を得るような共働き夫婦で、子どもを持たないといった選択をした場合には夫婦型保険のメリットはあまりないでしょう。

このようにライフプランを踏まえたそれぞれの保険の目的を考えて保険を選ぶことが大切です。

保険を変更しない場合は同じ保険会社で

結婚を機に保険について検討し、以前から契約してきた保険を維持する場合はどうすればよいでしょうか。その場合は保険会社の変更はおこなわないほうがよいでしょう。結婚をしたからといって配偶者にあわせる必要はありません。

夫婦型を選ぶなら保険料払込免除があるものを

医療保険、生命保険にかかわらず、夫婦型の保険を選ぶ場合には、「保険料払込免除特約」があるものがおすすめです。これは主たる被保険者に万が一のことがあった場合、残された配偶者には、以降の保険料の支払いが免除されるというものです。大黒柱がいなくなったあとは家計がひっ迫することは必至ですから、ありがたい制度といえます。

ライフステージに合わせて保険を変えるなら別々で

ライフステージが変わるタイミングにあわせて保険の見直しをする際には、家族型保険や夫婦型保険ではなく、ぞれぞれで契約をしたほうがニーズにあわせやすい場合があります。たとえば、小学校から中学校、高校と子どもの進学にあわせて医療保険などを見直したいといった場合は、家族型の保険ではニーズを満たすことが難しいでしょう。

まとめ

保険は夫婦型保険を選んでも、夫婦別々の保険を選んでも、それぞれにメリットとデメリットがあります。結婚したばかりの時期には、保険に関して具体的な話をしていない場合も少なくありません。保険の見直しをきっかけに、ご夫婦で長い目で見たライフプランについて話しあってみてはいかがでしょうか。本記事がそういったきっかけになれば幸いです。

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●執筆者紹介
渡辺博士(ファイナンシャルプランナー)
公認会計士浅野浩事務所、日興コーディアル証券(現在SMBC日興証券)を経て、2006年にワタナベマネークリニックを開設。以後独立系FPとして地方公共団体や企業の講演などを中心に多くの講演業務や相談業務にも携わる。日本FP協会神奈川支部幹事、金融知力普及協会上級金融商品フェアアドバイザー他

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