【専門家監修】新居の掃除まとめ!掃除の方法、道具、場所をすべて解説

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新居に住みはじめるにあたってはこまごまとした準備が必要ですが、なかでもその後の生活にさまざまな影響を与えるのが「掃除」です。本格的に生活を開始する前は、普段は掃除しにくい場所をきれいにし、傷をつきにくくするための予防的な掃除などをおこなう絶好の機会といえます。今回は新居の掃除の注意点や場所ごとのポイントなどについて解説します。

新居の引越でまず掃除をすべき理由

引越先はすでにきれいに掃除されていると思いがちですが、掃除のやり残しがある、掃除がおこなわれていても入居までの期間にホコリなどが溜まってしまったりするなど、意外と汚れがあるものです。また、壁や床などに傷がついていないかを確認することもできるため、入居時の掃除は大切です。

新築でも掃除をする

「新居」は、賃貸物件におけるマンションや戸建て住宅に限らず、新築(分譲)における物件にもあてはまります。マンションや住宅を購入した場合、通常は引き渡し前に施主検査をおこない、不具合箇所を施工会社に直してもらってからの入居となります。

注意が必要なのは、入居後に大きな傷や汚れ、開閉の不具合などを見つけた場合、施主責任とされるケースが多い点です。そのため、新築であっても一度入居前に掃除をおこない、住居に不具合がないか再度チェックするようにしましょう。

汚れている可能性があるから

新築物件の場合、入居前に工務店などの施工業者が最終クリーニングをおこないます。しかし、クローゼット内など、目に見えない場所の掃除は見逃されやすいものです。そのため新築であっても、収納をはじめる前に一度掃除をするようにしましょう。
中古物件や賃貸物件の場合は、人が住んでいない時間が長いほど各所にチリやホコリが溜まります。そのため、荷ほどき前に、住居全体の掃除が必要です。

現状確認になるから

賃貸物件では、入居前に掃除をすることで住居各所の状態や住宅設備機器の状態をチェックすることができます。その際に気になることがあれば、写真を撮っておきましょう。
入居後、住居になにか変化が起きたときの判断材料となります。

新居で掃除すべき場所とは

新居で特に掃除すべき場所は、トイレ・キッチン・風呂などの水回りと床・壁・天井・窓などの室内に面している部分です。ここでは各箇所の掃除のポイントを解説いたします。

トイレ

便器は抗菌・防汚タイプのものがあるので掃除は不要と思いがちです。しかし、トイレを毎日使用していると「尿石」が付着してしまいます。尿石とは尿のたんぱく質や尿素などが細菌の働きで変化したものです。便器の縁や便座の裏などに溜まりやすく、尿の飛び散った箇所を流水しきれないのが付着の原因となります。尿石は通常の掃除での除去が困難なため、こまめに掃除をして予防することが大切です。

キッチン

キッチンで掃除すべき箇所は、レンジ(ガスレンジ・IHレンジなど)・レンジフード(換気扇)の油汚れ、シンク・排水口の水垢汚れ、家電(冷蔵庫・電子レンジ・トースター)のホコリ汚れです。

特に一番苦心するのは、油汚れではないでしょうか。大掃除のときだけレンジ周辺を掃除された方は思い当たるかもしれません。ガスレンジの場合は五徳(調理器具を載せる部分)を外し、レンジ台全体を専用の洗剤・クリーナーで油落としします。同時にレンジフード(換気扇)フィルターの油汚れもシンク部分で落としましょう。

次に調理台やシンク、蛇口などの水垢汚れを洗剤で洗う順番にすると、先ほどの油汚れも同時に掃除ができるので、後戻りがなくスムーズに掃除ができます。
家電のホコリ汚れは濡れたきれいな雑巾で拭きとりますが、感電防止のためコンセントは抜くようにしましょう。

風呂

お風呂掃除でポイントになるのは水垢汚れとカビ汚れです。浴室はマンションなどにある一般的な「ユニットバス」と戸建て住宅に多い「在来工法の浴室」に分けられます。
ユニットバスは樹脂パネルで四方を囲んでいるので比較的掃除もしやすく、換気をこまめにすることでカビの発生を防げます。

一方で在来工法の浴室とは、壁をモルタル下地で施工した上にタイルで仕上げた浴室を意味します。壁はタイル仕上げが基本となり、タイル間に発生するカビ除去が掃除のポイントになります。
たわしなどで擦りつけるとタイル間や表面に傷が入り、その部分にまたカビが発生してしまうため、カビ洗浄洗剤の泡で退治しましょう。

水垢・湯垢は浴槽の最高水位になるライン(お湯を張ったライン)で発生し、浴室床面に発生します。皮脂やせっけん汚れが水垢の原因です。最近はカビや皮脂汚れ掃除など用途が記された専用洗剤が販売されています。重曹などで落ちない汚れは専用洗剤を使ってみるのもよいでしょう。

床はフローリング(木材)、石タイル、カーペットをはじめ、和室の畳など仕上げ材がさまざまです。ここでは一般的なフローリング(木材)におけるポイントを解説いたします。
素足で歩く場合は足裏の油汚れがフローリングに付着しやすく、ホコリは油汚れや床の角に溜まります。
掃除機でホコリを除去するだけでなく、水拭きをして表面の汚れをとることがポイントです。また、フローリング材の表面を保護するため、ワックスがけすると、ホコリ溜まりができづらくなり掃除もしやすくなります。

床掃除で表面の傷を見つけたり、踏みしめたりすることで床下の異常をチェックすることができます。普段、歩行する「中央部分」と歩行しない「端の部分」をそれぞれ踏みしめると、普段歩行しない「端の部分」で床鳴りが発生しているケースもあります。

床鳴りは、下地の木材が傷んでいる、支えが緩んでいる、フローリング(木材)が季節によって収縮している、接着が剥がれているなどが主な原因です。
気になる場合は、賃貸を管理している会社や、分譲の場合は施工した工務店などに一度ご相談されることをお勧めします。

壁、天井、窓

ここからは壁・天井・窓の掃除のポイントを解説いたします。

壁の仕上げはクロスが一般的です。居室の壁自体については、掃除はほとんど必要ありません。

一番問題となるのはエアコンの汚れです。新品のエアコンなら問題ありませんが、すでに設置されている物件では入居時にエアコン本体の拭き掃除とフィルターのホコリ除去をし、部屋の窓を開け試運転してみてください。賃貸の場合、前に住んでいた方がタバコを吸っていて、ニコチン臭が残っているケースがあります。その場合は大家さんなどに連絡し、クリーニング依頼の相談を入居時にしましょう。

居室以外ではトイレ、洗面脱衣室の壁に尿や水滴が飛び散って、カビや臭いの原因になるケースがあります。住宅の設計において、水周りの部屋のクロスは水に強い材質にすることが多く、水拭きをしてもクロス表面が傷むことが少ないので、ガビが生える前に入居時にまず掃除することをお勧めします。

天井

天井の仕上げもクロスが一般的です。拭きとりの必要はありませんが、新居へ入居時は壁と天井のクロス張り合わせ部分に剥がれがないかチェックしましょう。クロス目地の補修は専用のコークボンドなどを上から刷り込んで、濡れた布で拭きとるなどできますが、家具などを置いてしまってからでは施工が難しくなるので入居時のチェックが大切です。
賃貸住宅で照明(シーリングライト)が備えつけの場合には、点灯の確認(電球交換の必要の有無)やカバーにホコリが溜まってないか掃除して確認しましょう。

窓は時代によって進化しており、最近の窓(サッシ)は二重・三重ガラスで遮熱性能を上げ、サッシが断熱性能を持つものが増えました。
一方で築年数の経ったマンションや住宅のサッシは断熱性能が低いので、冬になると室内側のガラスやサッシ部分に結露を起こすケースがあります。結露水がサッシ下部のレールから排出される構造の物ならよいのですが、室内に溜まってしまうとカビや窓枠(木材)を腐食させる原因になります。

寒い時期以外に新居へ入居される場合は、窓周辺にカビが発生していないか、窓枠が傷んでいないかを確認し、拭き掃除の際に霧吹きで室内側を濡らし水滴の行き場をチェックしてみましょう。水の逃げ場が無く室内側に溜まる場合は、冬期に換気を小まめにおこない、水滴を拭きとる習慣がポイントになります。各所に発生するカビは家を傷めるだけでなく住む人の呼吸疾患の原因になるので、新居に入居した最初の掃除が肝心です。

新居の掃除のポイント

新居に入居した際、すぐに荷物を片づけたくなりますが、できれば事前に訪問し全体を簡単にでも掃除しておくことが必要です。ここでは掃除の方法について解説いたします。

換気をする

以前、マンションや戸建て住宅が高気密・高断熱化したことで問題となったのが、目眩などを引き起こすシックハウス症候群です。その後、2003年建築基準法が改正され、すべての住宅に「24時間換気システム」の導入が義務化されました。2時間に1回、家中の空気を入れ替えられる換気量が確保されており、スギ花粉飛散時期などアレルギー持ちの方は窓を開けられなくても換気ができる仕組みになりました。

24時間換気システムが設置されていないマンションや戸建て住宅の場合には、窓を開け、局所換気(浴室換気扇・トイレ換気扇・キッチンの換気扇など)を最大にすると外部から新鮮な空気が流入し、換気扇から排気する換気ができます。
部屋の窓を1カ所開けるだけでも重力換気(上に溜まった暖かい空気と床面の冷たい空気が窓を開けることで対流し換気する手法)ができますので、トイレや浴室に換気扇がない場合でも、窓を開けて換気することが大切です。

虫対策をおこなう

掃除を怠ると汚れやカビが引き金になり、虫を引き寄せる原因にもなります。新居へ入居したとき、まず虫対策に気が向きがちですが、掃除は虫よけの第一歩になります。
網戸の状態や排水口など、外部と繋がる箇所を掃除して把握しておくと、虫の侵入経路が想定でき対策もしやすいです。掃除にあわせて虫対策をすることで、より大きな効果が期待できます。
掃除後の虫対策に関しては、以下の記事をご参照ください。

掃除は上から下へ

日常の掃除でも上から下に掃除していくことがお勧めです。床を掃除したあとに家具など上部を掃除すると、せっかくきれいにした床に再度ホコリが落ちてしまいます。掃除の手順としては、照明器具やエアコン、家具に溜まった上部のホコリを拭き掃除や静電モップなどでとり除き、床掃除を仕上げとしておこないましょう。浴室も同じで天井に付着したカビの胞子を拭き掃除などで除去し、壁を掃除して、浴槽と床は最後に洗うとよいです。浴室の掃除では、お湯は菌を繁殖させやすいので、冷水で洗うのもポイントとなります。

あったら便利な掃除用具と使い方のコツ

ここまで新居の掃除が必要な理由を解説してきました。ここからは掃除用具ごとに使い方のコツを紹介します。

マイクロファイバー雑巾

これまで雑巾と言えば「綿」素材が一般的でした。しかし、化学繊維を使用したマイクロファイバークロスは、綿に比べて繊維断面が鋭角なため、洗剤を使わなくても、濡らして絞るだけで細かな汚れや油汚れまで落とすことができます。

また、乾いた状態では、床のホコリや細かなゴミを繊維と静電で吸着することが可能です。さらに、吸水性にも優れており、キッチンのシンク、浴室の鏡などさまざまな場所の掃除に利用できるため、汎用性が広い雑巾と言えます。

一方でマイクロファイバークロスの化学繊維は硬いので、漆器や金箔装飾飾の食器やフローリングのワックスなどに使用すると、表面を傷つけたり装飾を剥がしてしまう恐れがあります。そのため、それらの掃除の際には、綿雑巾や綿タオルなどで優しく拭き取るようにしましょう。

掃除機は引きがけで

一般には押しがけするイメージがありますが、実はより引きがけのほうが吸引力がアップします。ほこりが溜まっていることの多い新居の掃除では、引きがけを基本にするとよいでしょう。また、ゴミパックが一杯でフィルターが詰まったままの状態では、掃除は吸引力が低下してしまいます。ホコリやゴミを吸い切れずに広げてしまうことになるので、掃除機のお手入れを小まめおこなうことが大切です。

洗剤の使い分け方

洗剤は汚れの種類に応じたものを選択しましょう。洗剤の種類を知るには「アルカリ性・中性・酸性」の違いを知っておくと安心です。

・洗剤の液性と特徴

参考:株式会社ダスキン「おそうじ大辞典 洗剤と洗浄剤」

アルカリ性洗剤(塩素系を含む)

漂白力が強く、洋服シミ・油汚れ・皮脂汚れ・湯垢・カビ
などに使用されます。

【使用用途】
・洗濯機のカビ汚れ
・キッチンの換気扇、コンロ、グリルなど油汚れ、
・衣服のシミや皮脂汚れ
・浴槽のヌメリ、皮脂汚れ、湯垢

【注意事項】

「混ぜるなキケン」と表示されている商品をよく見かけますが、Ph11を超える強アルカリ性(塩素系)洗剤は、酸性の物質が混ざると有毒な塩素ガスが発生し、吸い込むと危険です。

また、よく使用される重曹はPh8から9程度なので弱アルカリ性のグループに入ります。そのためクエン酸が混ざると化学反応で二酸化炭素が発生します。

二酸化炭素は塩素ガスに比べ有害ではありませんが、高濃度状態で室内(浴室など)に充満すると酸欠の恐れがあります。気体は目では分からないので換気を忘れずにしましょう。

酸性洗剤(酸素系を含む)

水回りの洗剤に多く、浴室用やトイレ用に多い洗剤で、一部の衣服用洗剤にもあります。

【使用用途】
・浴室の床、椅子、洗面器の水垢など
・トイレの便器(尿石)
・キッチンのシンク水垢・蛇口の水垢
・洗面器の水垢

【注意事項】
家庭用洗剤を保管する際は、アルカリ性と酸性の洗剤を同じ場所に置かないようにしましょう。

中性洗剤

幅広い汚れに対応し、素材や皮膚など傷めにくいので基本的に水洗いできる洗剤として使われています。

【使用用途】
・家具やフローリングの汚れ
・窓ガラスや鏡の汚れ
・食器や衣類などの汚れ
・浴槽の汚れ

【注意事項】
中性洗剤は塩素ガスを発生させることはないので、ほかの洗剤と混ざってしまっても安心です。

ガラスや鏡の油膜落とし

住宅の窓ガラス掃除の手順は水拭きが基本で、先出のマイクロファイバークロスは綿雑巾よりも汚れを吸着してくれます。水拭きで落とせない場合には、住宅用の窓ガラスクリーナーを使用するとよいです。

しかし、住宅用の窓ガラスクリーナーでは、拭きムラや油膜が残ってしまうケースもあります。そこで筆者がおすすめするのは、自動車の窓ガラス用クリーナーです。自動車は、窓に拭きムラや油膜のギラギラがあると視界不良となるため、窓の表面をきれいにする効果が高い商品が多いです。

自動車の窓ガラス用クリーナーは、ガラスや鏡の表面を傷つかない微粒子で研磨するもので、特に浴室のウロコ汚れなどを効果的に落とすことができます。ただし、鏡に曇り止めなど特殊コーティング加工されている場合は、それも除去してしまうため注意です。

まとめ

最近は、「断捨離」や必要最低限の持ち物で生活する「ミニマリスト」など住まいにおいて物を置かないことを善とする傾向が見られます。しかし、物を持っていることが悪いのではなく、片づけられない・物に溢れている環境が悪だと福祉住環境に精通する筆者は考えています。

大切なので捨てられないが家に置くと邪魔になるといったものは思い切って貸し倉庫(トランクルーム・レンタルコンテナ)に預けるのも一つです。新居がスッキリすると空間的も気持ち的にも余裕が生まれ、新しい生活にやる気をもたらすと思います。
日常的な掃除は家と心の健康を測るバロメーターになりますので、新居へ入居するときの掃除をきっかけに日頃の習慣にしていきましょう。

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●執筆者紹介
斎藤 進一

一級建築士・福祉住環境コーディネーター 大手ゼネコンで施工管理を経験し、ハウスメーカー系工務店で設計・施工を経験。高齢者・障害者のバリアフリー住宅の専門家が当時居なかったことから2004年に「やすらぎ介護福祉設計」を創業する。

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