どの時代でも、妊娠や出産、赤ちゃんが大きくなるのは大変であるとともに、とてもおめでたいことです。節目ごとにお祝いをして、赤ちゃんの無事の成長を家族で願います。どんなお祝いがあるか、その意味とともに解説していきます。
目次
妊娠5ヶ月「帯祝い(おびいわい)」
多産で出産が軽い犬にあやかり、安産で強く丈夫な赤ちゃんが生まれるようにとの願いをこめたお祝いです。
帯祝いの由来と目的
一般的に安定期と言われる時期に入った妊娠5ヶ月目の戌の日(いぬのひ)に「岩田帯」と呼ばれる腹帯(はらおび)を巻くお祝いのことです。戌の日に行うのは、多産でお産の軽い犬にあやかりたいという願いから。本人の自覚を促すことと、帯を巻いて身を清め、安産を願ったのが始まりです。また、お腹の胎児を保護し、赤ちゃんの位置を安定させるという役割もあります。
誰が贈るの?
通常は妊婦の実家から贈られ、赤飯などを食べて祝います。岩田帯には、岩のようにたくましく、元気な子が生まれるように、という願いが込められています。岩田帯に付けるのし紙は、水引が紅白の蝶結びで贈ります。表書きは「御祝」「寿」、もしくは分かりやすく「御祝帯」「祝の帯」と書きます。
岩田帯の種類
さらしタイプで巻くのが大変という方には、市販のガードルタイプや腹巻きタイプもお勧め。取り外しが楽ということもあり、実用的と喜ばれています。
産後7日目「お七夜(おしちや)」
昔は赤ちゃんが7日を待たずに亡くなってしまうことも少なくなかったため、生後7日目に名前をつけて、無事の成長を祝ったことから始まったお祝いです。
お七夜の方法
生まれた日を1日目として7日目に行う、赤ちゃんにとって初めてのお祝いです。昔は奉書紙を左右三つ折りにし親の名前や続柄を書いていましたが、今は半紙か専用の命名書が一般的です。命名書は神棚や床の間に飾りますが、最近では赤ちゃんの枕もとの壁など高いところにはることが多いようです。1ヶ月ほど飾って、その後はへその緒と一緒に保管をします。
お祝いは渡す?
現在はほとんど身内だけで祝いますが、お七夜に招待されたら、ご祝儀として紅白の蝶結びの金封に「お祝」「御七夜御祝」「寿」または「御酒肴料」として包みます。相場は約1万円。お祝いのお返しは必要ありません。祝い膳がお返しになります。
生後1ヶ月「お宮参り(おみやまいり)」
赤ちゃんの無事の誕生を感謝しながら生まれた土地の神様に報告し、お守りくださいと願ったことから始まった行事です。
お宮参りの目的とは
その土地の氏神様に赤ちゃんの誕生を報告し、健やかな成長を祈願します。男の子は30日、女の子は31日目に行いますが、現在は日数にこだわりません。1ヶ月検診で問題がなければ、母子の体調や気候なども考慮のうえ、よい日を選びましょう。真夏や真冬を避けて過ごしやすい気候を待ったり、生後100日のお食い初めの頃に行くという方も多いようです。
お宮参りの正式なルールとは
正式には、赤ちゃんを父方の祖母が抱き、両親が付き添います。父方、母方の祖父母が揃ってお参りするケースも多いようですが、両親だけでされる場合もあります。
神社では、神殿の前でお祈りし、赤ちゃんのすこやかな成長を祈ります。祝詞(のりと)やお祓いを受ける場合は、社務所で赤ちゃんの氏名、生年月日、両親の名前などを伝え、お宮参りのお祓いをお願いし、祈祷していただきます。
神社への御礼
お礼には「初穂料」または「玉串料」と表書きし、当日社務所に持参します。 水引は紅白の蝶結び、金額は5千~1万円が目安。当日の赤ちゃんの祝い着は、母方の実家から「御祝」として贈られるのが一般的でしたが、最近はレンタルで済ませる方も多いようです。
正式な参拝の仕方
「二礼二拍手一礼」
●まずは一礼
●更にもう一礼
●右手を一関節分だけ下げ、パン、パン、と二拍手後、右手と左手を同じ高さに合わせる
●最後に一礼
となります。礼の際のお辞儀は90°になるようにするのが正式です。神社によっては特殊な作法もありますので、参拝方法を下調べしておくことがおすすめです。
生後100日目「お食い初め(おくいぞめ)」
乳歯が生え始めるこの頃に、一生食べ物に困らないようにとの想いを込めて始まったお祝いです。
お食い初めの方法
祝い膳を用意し、赤ちゃんに食べさせるまねをします。「百日(ももか)の祝い 」「箸祝い」「歯がため」という呼び名もあります。正式には、この日に集まった人の中で最年長者が介添え役となって赤ちゃんに食べさせるまねをするのが一般的です。
お祝い膳の内容は?
祝い膳は、赤飯に尾頭つきの焼き魚、煮物、香物、汁の一汁三菜が基本で、それ紅白の餅を5個添えた二の膳がつきます。また丈夫な歯が生えるようにと、歯固め用の小石をのせたり、「しわができるまで長生きするように」と梅干を用意する習慣もあります。
お祝い膳の器
お食い初めに用いる祝い膳には、漆器の膳に、漆器もしくは陶器の食器といった本格的なものもありますが、ちょうどこの時期が離乳期にもあたりますので、離乳食用の食器で代用するのもよいでしょう。献立もしきたりにとらわれることなく、果汁やプリン、ベビーフードなど、赤ちゃんが実際に食べやすいものを用意する方も最近は増えてきましたが、尾頭付きの魚は用意される方が多いようです。
1歳の誕生日「初誕生(はつたんじょう)」
お七夜と同じように、昔は1歳を迎えることが難しい場合もあったため、無事の成長をお祝いすることから始まったお祝いです。
初誕生の方法
無事に1年間過ごせたことに感謝し、現在は家族だけか、近くに住む赤ちゃんの祖父母や両親の兄弟を招く程度で、ごく内輪で祝うようになってきました。祝い膳も形式にとらわれず、洋風の献立にしたり、名前入りのバースデーケーキにろうそくを1本たてて祝うなど、西洋式にお祝いをすることが多いようです。
一升餅とは
1歳まで無事に育ったことをお祝いし、「一生食べ物に困りませんように…」と、これからもすくすくと育つことを願う伝統的な行事です。
お返しはする?
かつては、近所に誕生もちを配って歩きましたが、今ではあまり行いません。お祝いをいただいたら、高額ではない限り特にお返しをする必要はないでしょう。後日子どもの写真などを添えて、お礼状を書けば十分です。
初めての節句「初節句(はつぜっく)」
季節の変わり目となる節句に、赤ちゃんの邪気を払い、健やかな成長を願うお祝いとして始まりました。
初節句の方法
赤ちゃんが生後初めて迎える節句を初節句といいます。女の子は3月3日の桃の節句、男の子は5月5日の端午の節句にお祝いをします。赤ちゃんが生後1ヶ月以内のときや、母子の体調によっては翌年に行います。このとき、雛人形や鯉のぼり、五月人形などは母親の実家から贈られるのがならわしですが、それにこだわることもなく、近親者が相談して重ならないように贈るとよいでしょう。お祝いの品には、のしをつけて紅白水引を蝶結びにしてかけます。
誰とどうやってお祝いする?
初節句には、両親や親戚、仲人夫婦などを招いてお祝いをします。主役である男の子や女の子は晴れ着に着替え、招かれた側も、格式を重んじる家なら略礼服で伺うようにします。しかし、最近では形式にこだわることなく、子ども中心の楽しいお祝いにする傾向があります。家庭ごとに趣向をこらして行うとよいでしょう。
まとめ
医療の発達していなかった昔には赤ちゃんが育つということは大変おめでたいことで、それを節目ごとに祝った習慣が残っています。今の時代でも、赤ちゃんが無事に大きくなる喜びに変わりはありません。せっかく日本に生まれた赤ちゃんですから、伝統行事を一緒に楽しんでいくのも良いのではないでしょうか。その際は、赤ちゃんやママの体調、気候などを考慮して、思い切って時期をずらすなど無理のないように楽しんでみてください。