【社労士執筆】子ども医療費助成制度の医療証がもらえない場合がある? 年収や対策を紹介!

子育てに関しては、さまざまなことでお金がかかります。なかでも、子どもは大人よりも病院にかかる機会が多いため、医療費に関する支出が大きくなりがちです。このような負担を支援するため、子どもの医療費について、自治体が助成金を出す制度が存在します。そこで今回は、子どもの医療費の助成について、対象となる範囲や助成を受けるための手続き、所得制限の有無や申請の方法などについて解説します。

子ども医療費助成制度とは

子ども医療費助成制度とは、子どもの健全な育成を支援し、児童福祉の向上を推進することを目的として、国がおこなう医療費助成とは別に、自治体が子どもの医療費を助成する制度です。

自治体ごとに助成の内容や対象となる子どもの年齢などが異なりますが、子どもの通院や入院にかかわる費用が助成される点では共通しています。自治体によっては、訪問看護による診療費用や、薬剤の支給に関する費用も助成するケースもあります。

対象

自治体が指定する年齢の範囲内で、子どもの医療費が助成の対象となります。ただし、対象となる子どもが以下のような要件に該当する場合は、助成の対象外とされることがあります。

(1)生活保護を受けている世帯に属している
(2)児童福祉施設などに入所していることにより医療費の支給を受けることができる
(3)重度障がい者医療費助成制度により医療費の助成を受けることができる
(4)一人親家庭医療費助成制度により医療費の助成を受けることができる
(5)そのほかの公費負担によって医療費の全額支給を受けることができる
(6)健康保険制度に加入していない世帯に属している

助成内容

子どもの医療費の自己負担割合は、0歳から小学校入学までは2割、小学校入学以降は3割が原則です。自治体に申請して、いわゆる「子ども医療証」の交付が受けられれば、この自己負担分が助成されます。

ただし、自己負担金額が0円にならないケースもあります。たとえば、大阪府内に住所のある家庭の場合、1医療機関ごとに、月2日を限度として、1日あたり 最大500円の一部自己負担額が発生します。複数の医療機関を利用する場合は、1月最大2,500円の一部自己負担額が発生します。

なお、助成を利用するには、子ども医療証と健康保険証を医療機関へ提示する必要があるなどのルールがありますので、詳しくは自治体窓口に確認しましょう。また、子ども医療証の名称は「子ども医療費受給資格証 」「福祉医療費受給者証<こども> 」など、自治体によって異なります。この記事ではこれらの受給証について「子ども医療証」と表記します。

子ども医療費助成制度の医療証はもらえない場合がある?

子どもを養育する人の所得が自治体の定める金額を超えた場合、子ども医療費助成制度を利用できないことがあります。以下で、詳細について解説します。

所得制限がある自治体がある

子ども医療費助成制度では、扶養者の所得制限を設けている自治体もあります。所得制限に関しては、医療費助成の対象となる全年齢に対して制限があるケースと、高校生のみといったような特定の年齢の子どもに対してのみ制限があるケースとがあります。

全年齢について制限を設けている自治体としては、札幌市があります。たとえば、扶養家族が2人いる世帯では、扶養者の所得が698.0万円(給与収入換算で917.8万円)を超えた場合、子どもの医療費助成を受けることができません。

高校生について制限を設けている自治体としては、相模原市があります。たとえば、扶養家族が2人いる世帯では、扶養者の所得が698.0万円(給与収入換算で917.8万円)を超えた場合、高校生の子どもの医療費助成を受けることができません。

制度については、変更・廃止される場合もあります。まずは、お住まいの自治体のホームページで確認し、詳細については自治体窓口に問いあわせてください。

所得制限を撤廃する自治体も

近年、少子化対策強化の声が高まっていることを受けて、子どもの医療費助成に関する所得制限を撤廃する自治体が増えています。これは、すべての世帯が安心して子どもを育てられるようにするための措置と言えます。

たとえば大阪市では、令和6年4月から中学生と高校生の子どもの医療費助成に対する所得制限が撤廃されました。

そのほかにも、三重県伊勢市では、令和6年9月から小学生と中学生の子どもの医療費助成に関する所得制限が撤廃され、和歌山県橋本市では、令和6年10月から高校生までの子どもの医療費助成に関する所得制限が撤廃されます。

現在所得制限のある自治体にお住まいの方も、所得制限が撤廃される場合も考えられます。まずは、住んでいる自治体への問い合わせや自治体のホームページで確認してみましょう。

所得制限を避けるための対策

所得制限が適用される場合であっても、所得額を減らすことで、子どもの医療費の助成を受けられるようになる場合があります。

以下に、給与所得者ができる所得額を減らす方法を紹介します。

(1)確定拠出年金に加入する
現在、個人型(iDeCo)、企業型DCという2種類の給与所得者が加入できる確定拠出年金制度があります。これらに加入した場合、年間に拠出した保険料の全額をその年の所得額から控除することができます。

(2)地震保険へ加入する
地震保険に加入した場合、年間5万円を限度として支払った保険料をその年の所得額から控除することができます。

(3)医療費控除や特定支出控除を受ける
世帯で支払った年間の医療費合計が10万円を超えた場合、超えた金額をその年の所得額から控除することができます。また、仕事に必要な研修や資格の取得、転居などの費用を自己負担した合計額がその年の給与所得控除額の2分の1を超えた場合、超えた金額をその年の所得額から控除することができます。

これらに該当する場合、確定申告をおこなうことで所得額を減らすことができます。

子ども医療費助成制度の申請方法

子ども医療費助成制度による子どもの医療費助成を受けるためには、住んでいる自治体窓口で指定された手続をおこなう必要があります。

出生届を提出

なんらかの行政サービスを利用するには、窓口になる自治体に住民登録されている必要があります。子どもが生まれたら、出生届を提出しましょう。自治体が受理すれば、子どもの戸籍作成と同時に住民登録も完了します。

出生届は、子どもが生まれたあと、生まれた日を含む14日以内に、必要な書類を自治体に提出することと定められています。提出する先は、父親か母親の所在地、子どもの出生地、父親か母親の本籍地のいずれかの市区町村役所もしくは役場です。子どもが日本国外で生まれた場合は、出生届の提出期限は生まれた日から3カ月以内になります。

健康保険に加入

日本では、国民はなんらかの健康保険に加入することが義務づけられています。そのため子どもが生まれたら、子どもを親の被扶養者として健康保険に加入させる必要があります。

企業に勤める会社員などは、政府が運営する健康保険もしくは民間の健康保険組合が運営する健康保険に加入しています。公務員の場合は、各種共済組合が運営する健康保険に加入しています。従業員数5人未満の個人事業主に雇用されている人や自営業者、フリーランスの場合は、住んでいる自治体が運営する国民健康保険に加入しています。

会社員か公務員の場合は勤務先に、そのほかの自営業者などは自治体の窓口に申し出て、手続きをおこないましょう。詳しい手続き方法は企業や機関によって異なるため、窓口で確認してください。

子どもの医療費助成を申請

住んでいる自治体に対して、子どもの医療費助成の申請をおこなう必要があります。申請できるのは子どもの養育者です。申請方法は、窓口提出、郵送、オンライン提出などから選ぶことができます。

申請時には、通常、対象となる子どもの保険資格情報が確認できるもの(健康保険証など)、
申請者の本人確認書類、申請者の所得証明書などの提出が求められます。詳しい内容については、住んでいる自治体への問い合わせ、あるいは自治体のホームページで確認するようにしましょう。

児童手当と所得制限撤廃

子どもの医療費助成以外にも、子育て支援のための経済対策があります。その代表的なものが児童手当の支給です。

児童手当とは

児童手当とは、高校生年代まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子どもを養育する世帯に対して、一定の手当を支給する制度です。手当額は、子どもの年齢や対象となる子どもの人数によって決まっています。

児童手当の支給時期は、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月に、支給日ごとに前月分まで(2カ月分)がまとめて支給されます。児童手当を受給する場合は、居住地の市区町村役所もしくは役場の児童手当担当窓口に申請する必要があります。

高校生を養育しているなら、申請すれば受給可能

児童手当の支給は、令和6年9月30日までは所得制限があったほか、中学生年代までの支給が基本でした。しかし制度改正によって、令和6年10月からは所得制限が撤廃され、さらに上記のように高校生年代までの子どもを養育する全世帯が受給対象となりました。

ただし、今回の制度改正で新たに受給対象となった世帯は、手当を受給するには申請が必要です。また、制度開始の10月分から支給を受けるには、令和7年3月31日までに申請する必要があります。詳しくは自治体窓口などに問い合わせ、申請方法などを確認しましょう。

まとめ

子育てにはお金がかかりますが、子ども医療費助成制度など、子育て支援目的での世帯に対する助成制度が存在します。自治体によって基準や運用が異なるケースもあるため、お住まいの自治体の窓口やホームページなどを通じて、どのような助成制度があるのかを定期的に確認するようにしましょう。

また、下記の記事では、妊娠・出産に際してもらえるお金についても解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

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執筆者紹介

大庭真一郎(中小企業診断士、社会保険労務士)

大庭経営労務相談所 代表 東京都出身。東京理科大学卒業後、民間企業勤務を経て、1995年4月大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心として、企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。

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